紙新聞媒体の急激な衰退と構造的な収益低下


紙媒体新聞の衰退

アメリカの新聞業界では紙媒体が急速にデジタル媒体(PC+モバイル)に浸食されつつある。

出典:Newspaper Association of America & Garbagenews 2015

新聞の需要が紙媒体からデジタルへシフトしているが、新聞売上の観点からは必ずしもデジタル化で売上が増えているわけではない。

出典:Pew Research Center Apr.29 2015 State of the News Media 2015 & Garbagenews 4th May 2015.

紙媒体からデジタル媒体へ移行して広告客単価が下がったために利用者(販売売上)は増えたが総売上と利益が減少するといった状況が生じている。

 

出典:Pew Research Center Apr.29 2015 State of the News Media 2015 & Garbagenews 4th May 2015.

新聞の紙媒体減少とともに広告費も減少しているが、紙媒体に取って代わったデジタル媒体(オンラインと表示されている)の広告売上の伸びが非常に少ない。

デジタル媒体独特のリスティング広告による客単価の低下が新聞広告の売上減少の直接的な原因と考えられる。デジタル媒体ではアクセス数を増やす以外に解決法がない構造的な問題をかかえている。

さらに、ビジネスモデルの切り替えに対する効率的な編集方法の未確立も課題と思われる。


アメリカの媒体別売上

では、客単価が下がるデジタル広告によりアメリカ全体の広告費が減少しているかといえばそうではない。デジタル媒体の出現によりアメリカの広告費全体は増加している。著しいのがモバイル媒体の増加である。

出典:Pew Research Center Apr.29 2015 State of the News Media 2015 & Garbagenews 14th May 2015.

ここから言えるのは、アメリカ全体ではデジタル媒体による広告費の売上が伸びているのに、その恩恵を新聞が享受していない、言いかえれば、クライアントは新聞デジタル媒体にではなく、直に他のデジタル媒体に広告を出稿する傾向にあるということである。(2013年デジタル媒体全体の広告売上431.1億ドルに対し新聞デジタル媒体は33.7億ドル、8%に過ぎない。)

これはリスティング広告により媒体を特定しなくても新聞にも掲載されることが影響している。さらに、直に出稿されても広告客単価を安くするリスティング広告の仕組みの中では、紙広告が減ってデジタル広告が増えても売上が伸びない結果になっている。

 

新聞に取って、紙媒体は衰退、しかし、デジタル媒体が増えたとしてもビジネスモデルが成り立たないというジレンマにおかれている。

新聞は、ネイティブ広告を重視しない限り、紙広告が減少してデジタル広告に置き換わっても、損失を補完できない。


新しい方向性の提案

紙媒体+デジタル媒体のAR(Augmented Reality) 連結により新しい付加価値の創造

紙媒体は反射媒体で脳を活性化し、目が疲れない。また、全体を俯瞰してみることができる。

(さらに、反射媒体の紙ディスプレイも実用化されつつある)

紙媒体は残す必要があり、写真と見出しと定義する。

デジタル媒体本紙と定義し、記事、画像、動画、3DCG、音声、などで深堀記事を書く。

③両者はAR(Augmented Reality)で連結する。

ネイテイブ広告方式の重要視

①客単価の低いリステイング広告から自社ネイティブ広告に舵を切る。

Recommendation機能により広告の最適化を図る

ARによるネイティブ広告への入口の多角化:クライアントのすべての広告(屋外看板、住所録:電話帳、雑誌、新聞、テレビ上の写真)からネイティブ広告にアクセスできるようにする()。 

編集の合理化

紙新聞編成とWeb新聞編成の一元化を図る。共通に使えるPage Builder (Courtier Page BuilderWashington Post の Arc Publishing Page Builder など)を使用する。

②広告と記事をPage Builderで一元化編集をする。

③分散型のSNS(FaceBook、Instagram、Media など)への記事、広告配信もPage Builderで一元化編集したものを配信。

日本の場合、発信力の強化と編成の一元化のため、

横書き、2か国語編成が必要

①2か国語新聞:日本は宅配制度により新聞社一社当たり最大発行部数の読売新聞はアメリカで最多のニューヨークタイムスの約4倍の発行部数を持っている。デジタル新聞の発行部数は紙媒体の1/5。発行部数は多いが日本語のため全世界25億人の英語人口を相手にできるアメリカの新聞に比べ発信力が弱い。2か国語新聞が望まれる。

②紙とデジタルの編成の一元化のためにも縦書きを廃止、横書きが望まれる。